「最近このリード、なんだか吹きにくい……」
そう感じたら、新しいリードを買う前に、自分で試せることがあります。リードは消耗品で、決して安いものではありません。でも、身近な道具と少しのコツがあれば、ずっと長持ちし、吹きやすくなります。
時間がない方へまずは記事の後半にある困ったときの早見表だけでも見てみてください。
リードの各部の名前
この記事に出てくる名前です。先に見ておくと、読みやすくなります。
始める前に、三つの約束
- 触る前に、水で湿らせる。 乾いたリードは割れやすいので、調整は必ず湿った状態で。浸し方は人それぞれで、先端から第1ワイヤーまで浸す人、全体を浸す人、30秒ほど浸す人、ほとんど浸さない人もいます。私のおすすめは、10秒ほど浸して取り出し、少し置いてなじませる方法です。
- 調整は少しずつ。 ほんの少しで、吹き心地は大きく変わります。変えたら吹いて確かめる、の繰り返しです。
- 新しいリードは、数日吹いてから。 吹き込むうちに落ち着いてくるので、最初から触りすぎないこと。
そろえたい道具
楽器店や通販で手に入ります。ペンチとヤスリは百均のものでも十分です。
| 道具 | できること |
|---|---|
| ① 小羽根(掃除用の羽根) | 内側の汚れを落とす |
| ② ペンチ | 先端の開きを調整する、ゆるんだワイヤーを締める |
| ③ プラーク | 削るときに先端を支えて守る |
| ④ 紙やすり | 広い範囲を、うすく、なめらかにする |
| ⑤ 棒ヤスリ | 気になる部分だけを、局所的に整える |
道具① 小羽根内側の汚れを落とす
こんなときに先端から覗いて、内側の汚れが見えるとき
- 水に浸したら、根元(ボーカル=楽器とリードをつなぐ金属の管に差す側)から羽根を入れて、ゆっくり出し入れします。
- 先端はとても薄いので、羽根を引っかけないように。
- 外側は指でやさしくこすり、最後に水ですすぎます。
掃除すると汚れが取れてよく振動するようになり、最初は音が暴れることがあります。吹いているうちに落ち着きます。また、何度も強く通すと内側を傷めるので、掃除は汚れが気になったときだけで十分です。
道具② ペンチ「開き」を整える
こんなときにコントロールが効かない、音が小さい・細いとき
第1ワイヤーをペンチで軽く挟むと、先端の開き具合が変わります。挟む向きで、効果は逆になります。「上下」はブレードの平らな面側から挟む向き、「左右」はワイヤーの丸く曲がった両端を挟む向きです。
- 上下から挟む → 開きが狭くなる。 口の負担は減りますが、音量は下がります。開きが大きすぎて、コントロールが効かないときに。
- 左右から挟む → 開きが大きくなる。 音量や響きは増えますが、口の負担も増えます。音が小さい、細いと感じるとき、低い音が出にくいときに。
- 開きの目安は、先端の中央でおよそ1mmと言われます。ただ人や楽器で変わるので、最後は吹き心地で判断を。
- 第2ワイヤーは、まずは触らなくて大丈夫です。
- ワイヤーがゆるんでカタカタするときは、ねじった部分をつまんで、4分の1回転ずつ締めます。締めすぎると切れることがあり、開きも変わるので、締めたら吹いて確かめましょう。
ほんの少し挟んでは吹く、を繰り返します。ワイヤーをつぶしたり、折れ目を付けたりすると、元に戻しにくくなります。
道具③ プラーク削るときの「下敷き」
2枚のブレードの間に差し込む薄い板です。削るときに下から支えて、薄い先端が割れるのを防ぎます。
- 紙やすりや棒ヤスリを使うときは、必ずプラークを入れます。
- 先端の開いているすき間から、そっと差し込みます。無理に押し込むと、先端を傷めます。
- 安いプラスチック製で十分です。
道具④ 紙やすり広く、うすく、なめらかに
こんなときに重くて、反応が鈍いとき
- 水に強い耐水ペーパーの400〜800番が目安。粗すぎると削れすぎるので、迷ったら細かいほう(番号の大きいほう)から。
- プラークを入れて、先端に向かってなでるように数回。表と裏、同じくらい行います。
- 終わったら、削りかすを水で洗い流します。
道具⑤ 棒ヤスリ気になる部分だけを、局所的に
こんなときに低い音が出にくいとき(まずはペンチを試してから)
紙やすりが広い範囲を整える道具なら、棒ヤスリは気になる部分だけを局所的に整える道具です。目の細かいダイヤモンドヤスリなどがおすすめで、百均のものでも使えます。目の粗いものは避けましょう。
- プラークを入れて、狙った部分を軽く数回こするだけ。
- 低い音が出にくいときは、ブレードの根元寄りをほんの少し。
- ブレードの中央(背骨のように厚い部分)は音の芯なので、削らないように。
これがいちばん大切なルールです。
困ったときの早見表
| こんなとき | まず試すこと |
|---|---|
| 開きが大きすぎて、コントロールが効かない | 第1ワイヤーを上下から少しずつ挟む(口の負担は減り、音量は下がる) |
| 音が小さい、細い | 第1ワイヤーを左右から少しずつ挟む(音量は増え、口の負担も増える) |
| 重くて反応が鈍い | プラークを入れて、ブレード全体を先端に向かって紙やすりで軽くなでる |
| 低い音が出にくい | まず第1ワイヤーを左右から少しだけ挟む。それでも出にくければ、プラークを入れてブレードの根元寄りを棒ヤスリでほんの少し |
| 先端から覗いて、内側の汚れが見える | 小羽根で掃除(本番直前は避ける) |
| ワイヤーがカタカタする | ペンチでワイヤーを締める |
| どうしたらいいか分からない | 触らずに、そのままレッスンにお持ちください |
長持ちさせる毎日のケア
- 吹いたあとは水ですすぎ、根元から息を吹き込んで水分を抜きます。
- 通気穴のあるリードケースで乾かします。買ったときの密閉ケースに入れっぱなしにすると、カビの原因になります。
- 1本だけに頼らず、何本かを交代で使います。
- 落とす、先端を服にこする。こうした小さな負担が、寿命を縮めます。
自分で難しいときは
ナイフで大きく削る、先端を切るといった調整は、経験が必要です。無理に自分でやらなくて大丈夫です。
レッスンでは、お持ちのリードを一緒に見ながら、ここで紹介した調整を実際に手を動かしてお伝えしています。「このリード、まだ使える?」というご相談だけでも、気軽にお持ちください。